5月26日 金曜日
2224日目 Cuba Havana
あー、良く寝た。
清潔でふかふかなベッドで泥のように眠り、朝9時頃に目が覚めた。
日焼けで目が開かない…
顔を洗いテラスに出ると今日も気持ちの良い青空が広がっていた。
煙草をふかしながらぼんやり騒がしくなってきた朝のハバナの街並みを見下ろす。
しかしこの街マジで格好良いな。
周りを見ると同じように古い建物のテラスから顔を出してるおばちゃんや兄ちゃんたちが居て、下からは威勢よく商売してる人の声が響いてくる。
人力車が通りを走り抜け、葉巻をふかし、クラシックカーが普通に止まっている。
なんて絵になる街だよ。
今回はハバナとバラデロにしか行けなかったけど、もっと他の街も見てみたいな。
キューバ人たちと話しててバラデロに行ったと言うと、
「バラデロ!?あそこはトゥートゥーリスティックプレイスだ!キューバを知りたければ、ビニャーレスやシエンフエゴス、トリニダードに行け!勿論ハバナも良いぞ!良い女もいっぱい居るだろ?」
それに名前忘れたけど色々お勧めしてくれた。
そんな風に言われたらまた戻って来るしかないじゃんかよ。。だんだんとキューバの虜になってる自分が居る。

宿のすぐ隣りにあるカフェテリアで注文したこのパン、フッワフワのトロトロで、キューバに来てから1番美味かった!
皆んなこうゆう小さな商店の店先でコーヒーを飲んだりピザを食べたりする。
街をプラプラしてると腹がギュルギュルしてきて急いで宿に戻った。
さっきのパンか…?
トイレを済ませ改めて街を歩いていると、盗られてしまった充電ケーブルをやっと見つけて購入。
これでイヤホンの充電が出来る!音楽が聞ける!キューバでケーブル見つけられると思ってなかったから嬉しい。
それからも街をプラプラと歩いていて、明日にはフライトがあるから実質今日が俺のこの6年以上続いた旅の最終日ってことになるのかなぁと、そう思ったら、普段以上に街の風景や匂い、人々の表情や振る舞い、聞こえてくる音や風の肌触りを噛み締めるように、ひとつひとつ丁寧に感じていた。

結果論だけど、お金やカードを盗られて良かったかな。
そうじゃなきゃダラダラとこの旅の終わりを決めきれずに過ごしていただろうし、きっとそんな旅になんの意味もない。
今はもうすでに日本で皆んなに会えることや、美味しいご飯が食べられることが楽しみで仕方ない。
何食べようか。
ラーメン、寿司、サバの味噌にに唐揚げ豚カツカツ丼。うどんに蕎麦、天ぷら、豆腐、生姜焼き、牛タン塩、たこ焼き、納豆。別に日本食に飢えてたわけじゃないけど、もうすぐ何でも食べられるんだと思ったら食べたいもので溢れている。
もう最近あんまり好んで肉とか食べなくなってたけど、カツ丼とか唐揚げとか思い出すとやっぱり食べたくなる。美味しいチャーシューがごろっと入ったギトギトのラーメンとか食べたい。。
あー、楽しみだなー。
めちゃくちゃ美味いもんいっぱいあるんだろうなぁ。
温泉にも入りたいし、サウナで整いたい。
皆んな普通に会ってくれるかな?
家族とはどんな顔して会えばいいんだ?
もう会っていない月日が長すぎて、ろくに連絡もとっていないし、おそらく色々変わったであろう俺を受け入れてくれるのかな?
不安と楽しみとドキドキが入り混じっているけど、まぁなるようになるだろ。
受け入れてもらえなかったら1人でひっそりと森の方に行きます。
それにしても街を歩いていると結構日本語で話しかけられる。
「コニチハー!コンバンワー!ゲンキデスカーー!」
「青パジャマ赤パジャマ黄パジャマー!!」
「松坂!松井!大谷ー!」
「ジャパニー?マリファナ?コカイン?」
いや、お前はただの売人かい!
日本人もいっぱいいるんだろうな。
宿に戻りのんびり過ごし、また夕方になってから外に出た。

Wi-Fi公園に行き、最後のWi-Fiカードを使って地元の友達に来週帰ることを伝えた。
Wi-Fi使える時間が限られているので、返事はまだ見てない。きっと彼らは受け入れてくれるだろうと信じる。
両親にはまだ言わなくても良いか。
何て言ったらいいか分かんないし。。


最後の夜をどう過ごそうかと歩いていて、やっぱり何か美味しいキューバフードを食べたいなと思っているところに流暢な英語で話しかけてくる青年が。
少し会話を交わしていると俺の事情を知った青年は、
「オー、ソーリーマイフレンド!!今日が最後の夜なんだろ?美味しいキューバフードが食べれるところに連れて行ってやるよ!!」
彼に着いていくと3階くらい登った見晴らしの良いテラスで雰囲気も良い。だけど値段を確認するとかなり高い。。
今の手持ちじゃちょっと無理だ。
これは高すぎると伝えるともっとリーズナブルなところへ連れて行ってやるよと、
次に行った場所は確かにさっきのところよりは安いけど、俺の手持ちでここの支払いをしたらやっぱり明日の分とか、この後も何も出来なくなってしまうくらいの値段。
このキューバの物価を考えたらやっぱり高いよなぁ。キューバ人の月収以上するよ。
「悪いけどさっきも言ったようにあんまりお金ないんだよ。ここで食事したらもう明日過ごす分もこの後の分も何も残らないから別のところへ行くよ」
それでもずっと着いて来ようとする彼に、「1人で過ごしたいから」と、ちょっと冷たい感じになってしまったけどごめん、今は1人で最後の夜に浸らせてくれ。
1人で適当な値段のレストランに行き、魚と海老とロブスターがセットになった贅沢海鮮セットをオーダーする。
モヒートを飲みながら食事がやってくるのを待ち、待ちにまった最後のディナー。

先ずは魚から。
うん、見た目よりは悪くない。
次は海老。
うん、ちょっとしょっぱいけどまぁイケる。
最後にロブスター。
なんか食感がモニュモニュとしてて、まぁ美味しいけどこんな感じか。
正直な感想を言うと、スーパーで割引きされて半額になった駄目になりかけの食材を買ってきて、自分で調理したみたいな味だった。
これだけの食材が揃っていたから期待しすぎてしまったけど、やっぱりこんなもんか。
基本的にパサついてるし、調味料振りすぎだし、素材の旨さをあまり感じない。
オーストラリアやニュージーランドでもこのくらいの値段だせば結構美味しいもの食べられる。キューバの物価を考えたら中々の高級レストランだ。
それを考えるとあまり満足出来るものではなかった。
やっぱりキューバで食は期待出来ないのか。
缶ビールを飲みながら少し食後の休憩をし、やっぱり最後だし女いっとこうかなぁ、と。
実はアントニオにバイアグラをもらっていた俺。歩いてると声かけてくる娘もいるけど、どうしようかなと中々決めきれずに、結局アントニオと一緒に何回か来たクラブへとやって来た。
でも、、、
中に入るがなんだか気分も上がらない。
うーん、やっぱり帰ろうか。
最近そうゆう気分にならないんだよなぁ。
別に今でも女の子大好きだしめちゃくちゃヤりたいけど、やっぱりお金払ってとかそうゆうのもう出来ないかもしれない。昔は別に平気だったんだけどな。
バイアグラを投げ捨て、マレコン通りに腰掛けてイヤホンを耳に挿し、ランダムに音楽を流す。

夜風にあたりながら海に反射する月明かりが綺麗で、ぼんやり眺めていた。
何曲目かでジェフベックとロッドスチュワートの“People get ready ”が流れてきて、これで俺の旅は終わったんだな、と思った。
旅の間に何度この曲を聴いただろう。
ずっと孤独な旅に恋焦がれ、壮大な冒険を夢見て、形のない何かを探してこんなに遠くまできた。
でも、そろそろ家に帰る時間みたいだ。
コメント