1月22日 日曜日
2099日目~2100日目 Gobernador Gregores to Río Mayo
昨日は風もなく、暖かくてグッスリ眠れた。
草吸ったからってのもある。
朝7時過ぎ、すでに隣りではサブリナがゴソゴソと準備を進めていた。
俺も荷物をまとめ、2人で昨日と同じ国道に出てヒッチハイク開始。
しばらく2人で話しながらやっていたが相変わらず止まってはくれない。
皆んないつもジェスチャーで、スペースがないんだよー的なことをしてくる。荷物もあるし2人だと難しいかもしれないと判断し、別れてやることにした。
サブリナから沢山面白そうな場所も聞いたし、チャンスがあれば寄ってみよう。
少し先まで歩き別々にヒッチスタート。
お互い頑張ろう、健闘を祈る!
バリローチェと書いた段ボールも昨日無くしてしまった。まぁ別にあれはいらないか。バリローチェとか遥か向こうすぎて逆に止まってくれないかもしれない。
あれから1人で始めて7時間が経つが1台も止まってさえくれない。それどころかよくドライバーを見てると、親指を下に向けて、地獄に堕ちろ!的なジェスチャーをしてきたり、中指を立ててくる奴まで居る。
何がしたいんだろう。
シンプルにどんな人生送ってきたらそんな性格になるのか興味がある。
そんなことをしても自分だって別に気分良くないだろう。どうゆうつもりでそんなことするのか普通に聞いてみたいけど、ああゆう奴は面と向かってはそんなこと出来ないんだよなぁ。
こっちが中指を突き返しても車から降りてくることもないし、やるだけやってそのまま去っていく。結局こうゆう奴とは一生話すこともないんだろう。
だいぶ遠くの方にチラッと見えていたサブリナは、気づくと姿も見えなくなっていた。乗せてもらえたのか、あるいは水がなくなって町に戻ったのか。
19時が過ぎ、もう気力も体力も限界でずっと寝転がっていた。立つと立ちくらみがする。
昨日から2日間ろくに食べていない。
エネルギーが足りていない。
丸1日誰も止まってくれなかった。
もう今日は諦めて昨日と同じ寝床に戻ろうとすると1台止まってくれた。
「10分くらい行ったところの山でキャンプするんだよ。何もしてあげれなくてごめんね」
いや、気にかけて止まってくれただけでめちゃくちゃ嬉しいよ。止まってくれたってだけでもかなり元気もらえた。
昨日の寝床に戻り、なけなしの水でパスタを作って食べた。
次の日、もう水がない。
とにかく町に戻ることにした。
5キロほどの距離をヒッチしながら歩いて戻り、ガソリンスタンドで顔を洗い水をがぶ飲みすると、それだけで生き返った気分だ。
ヒッチハイカーもちらほら居るな。
あの荒野にひとりぼっちで周りに誰もいない寂しさや孤独感に比べたらなんて明るい雰囲気なんだろう。
食料や水を調達し、準備万端!
「オラ!ここでどれくらいヒッチしてるの?」
「私たちは1時間前からここでやってるけど全然ダメだね。中々難しいよ」
「俺ここで3日目だよ!全然止まってくれないね」
「ワット……?トレスディアス!?」
彼女たちの後ろまで行きヒッチ開始。
それからすぐ大きなトラックが彼女たちの横に止まり、そして彼女たちは乗り込んでいった。
……嘘だろ!?
ついさっき彼女たちはまだここで始めて1時間ほどと言っていた。
もう捕まえたのかよ。
俺もアピールするがもうスペースはないよ、とのジェスチャー。
そりゃあこんな小汚い訳の分からないアジア人より、可愛い女の子乗せたいよな。
まぁ今は水だってあるしまだ気分は軽い。
そのまま気楽にやっていると1台止まってくれた。
「もしかして日本人ですか?」
まさかの日本人来た!!
しかもかなりロングドライブで北の方に行くらしく乗せてくれることに!!
奇跡起きた。
まる2日、ほとんど止まってすらもらえず、精神崩壊起こしかけていたところに救いの手を差し伸べてくれたのはゆうきさん。
カナダ在住で、今は車で南米を旅してる方らしい。物腰柔らかく、とても優しい雰囲気のゆうきさん。
ずっと海外を旅したり住んだりしていてる方で、とても楽しい話しを聞かせてもらえた。
道中、野生のアルマジロとかも初めて見た。
楽しい時間を過ごしながら、ブエノスアイレス方面に向かうゆうきさんと、バリローチェ方面に向かいたい俺の交差点、Rio Mayoまで一気に500キロ近く乗せてもらえた。
マジでありがとうございました!!
もう感謝しかない!!
一気にこんなに進むことが出来た。
ゆうきさん、本当にありがとうございました!!!

もう気分は最高。
そのままヒッチ再開して、すぐに止まってくれたのパトカーだった。
「何処に行くの?パスポート見せて。おー、ジャパニーズか。ブエンビヤへ!」
何の問題もなく優しい雰囲気。
でもさっきから気になっているのは近くで祭りのようなものをやってるってこと。
まだ18時くらいだったけどもう今日はもういいか。充分だ。
目の前の空き地にテントが見えたので行ってみるとキャンプ場らしい。
シャワーも何もなくて1000ペソということだったので、別にどこでも寝れるしわざわざお金払いたくないので移動しようとすると無料にしてくれた。
お言葉に甘えテントを貼り、荷物を置いて身軽になってからすぐ隣りのさっきから盛り上がっている場所にゆうきさんに貰ったビールを飲みながら行ってみた。
すると肌の浅黒い人たちがベレー帽やカウボーイハットを被り、スカーフを巻いた伝統衣装のような格好を身に纏い、乗馬をしたり色んなゲームをしたりして楽しんでいた。
現地人たちの伝統的なフェスティバル。
南米はヨーロッパからの移民が多く、白人も多い。特にアルゼンチンはほとんどがヨーロピアン系だ。でも、当たり前だけど、もともとこの南米の大陸で生活していたこういった先住民のコミュニティだってある。
皆んなが今日のこのフェスティバルを楽しんでるのが伝わってくる。
伝統衣装を見に纏い誇らしげに歩き、馬に跨り自分のテクニックを披露する。
お酒で真っ赤に染まった頬をしながら仲間たちと盛り上がる。
まるで映画の中のワンシーンにでも迷い込んだみたいな。





この雰囲気にもっと浸っていたくて、高めのビールをおかわりし、プラプラと歩く。
まるで自分が生きてきた世界とはかけ離れているのに、なんだかずっと昔からここに居たみたいな気分になってくる。
こうゆう瞬間があるから旅はやめられないんだよなぁ。
最高の気分でテントに戻り、ブラジルからずっとバックの中に眠っていたラーメンで晩ご飯にしようとしていると、ここの家族がご飯を持ってきてくれた。
パンと茹でたジャガイモにチョリソー。


もう、皆んなどんだけ優しいんだよ。。
まる2日全く車が捕まらず絶望しかけてからの大逆転。
お腹いっぱい食べて、食べきれなかった分は明日頂こう。
やっぱり俺はツイてるな。
夜中まで隣で盛り上がってるフェスティバルの音が鎮まることはなく、まるで俺の逆転劇を祝ってくれているようだった。

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