1月19日 木曜日
2097日目 Argentina El Chalten to Belgrano
次の目的地、バリローテェまでは結構遠くて1500キロくらいある。
普通にバスに乗っても20時間くらいかかる距離。
チャルテンに着いた日にバスの確認はしていたけど、その時点で早くても21日と言われていて、まだトレッキングがどれくらいかかるかも分からなかったし、お金も足りなくてその時は買わなかった。
一応、昨日町に戻ってもからもバスの確認しにいくと、早くて23日とのこと。
4日後かー。
トレッキングに行く前に買っておくべきだったな。。それなら丁度よかった。
でもそれは結果論であって、その時には色々と予想もしづらかった。
まぁもう終わったことは仕方ない。
あと4日、このチャルテンでどうしよう。
……もうヒッチハイクするしかないじゃん。
ってことで、町のゴミ箱から段ボールを拾ってきて『バリローチェ』と書いた。

町の外れまで行きヒッチハイク開始。
ちょうど同じタイミングでもう1人始めたのでもう少し奥までいく。
しかし中々止まってくれないなー。
一台だけ止まってくれたけど、そっちの方は行かないとのことだった。
陽射しが照りつけて暑い中、車も止まってくれなくて時間だけが過ぎていく。
気づけば俺の後ろでもヒッチハイクをスタートしてるカップルも居た。
2時間近くたった頃1台止まってくれて、
「ルート40のところでおろしてあげるよ」
やった!
そのまま後ろにいたカップルも拾って100キロ近く進むことが出来た。
1台目、イワン。
ありがとう。
しかしそれからも車は全然止まることなく時間だけが過ぎていく。


日陰もなく、照りつける太陽が気力と体力を奪っていく。
ちょっと舐めてたかな。
もっと簡単だと思ってたけど、ほとんど止まってさえくれない。
これまでの肌感でアルゼンチン、特にこのパタゴニア地方はヒッチハイクしやすい場所だと勝手に思ってた。
だが実際はほとんど止まってさえくれない。
2時間以上がたち、さっき同じ車に乗ってきたカップルは俺の前の方でやってて、なんとか乗せてもらえたみたいだ。
よかったね。
まぁカップルは安心感もあるし乗せてもらいやすいだろう。
あとは女の子2人組みとかソロの女の子、それから男1人って感じかな。男2人とかになると向こうに危険を感じさせてしまうからかなり難しくなるし、3人とかだと乗るスペースがない。
でも!!何で俺の前に後からきたやつが割って入ってくんだよ!!こいつさっきチャルテンで俺と同じタイミングで始めたやつだよな?俺だってさっきわざわざお前の後ろまで行ったのになんで今度お前が俺の前に割って入ってくんだよ!!マナー知らねーのか!!お前の脳みそピンポン球くらいしかねーのかボケ!!!
……ダメだ、ダメだ。
取り乱すな、落ち着け俺。
別に前に来たからってあいつが先にゲットするとは限らない。さっきだって俺が後ろにいたのに俺の方が先にゲットしたじゃないか。
それに場所だって俺の方が良いはずだ。
ちゃんと車が止まりやすいようなスペースもあるし、直線で見晴らしも良い。それに引きかえ、あいつがいる場所はカーブになってるから見づらいし止まりずらいはずだ。
しばらくして1台の車が彼のところに止まり、少し話して彼は車に乗り込んだ。
その車が俺の方に近づいて来て渾身の親指を突き上げるが止まることなくスルーしていった。
…何でだよ!!!
あのボケ次あったら絶対前に割り込んでやるくそ。
すでにここに来て7時間が経ったが1台も止まってすらくれない。
こんな荒野に1人ですよ?
このままだと僕干からびて死にますよ?
アルゼンチン渋いな。
てかもはや車自体中々通らないし。
この時、ニュージーランドでの生活を思い出していた。
あの頃俺は、ニュージーランドでは沢山の人がそうするように、車の中で生活していた。後ろをベッドみたくして寝れるようにし、毎日キャンプ場などで車で寝ていた。
生活用品や荷物も全部車に乗せていたし、食材や調理器具なんかで助手席まで車は荷物でいっぱいだった。
ヒッチハイクをしてる人を見かけても、乗せるスペースがなくていつも、「悪いけど乗せられるスペースがないんだよ、ごめんねー」と彼らをスルーしてきた。
でも本当はどうだろう?
彼らが荷物の上でも気にしなかったら、あるいは荷物を無理矢理移動すれば、狭くても人1人を乗せるスペースくらい出来たはずだ。
もしくは、「水は大丈夫?お腹へってない?食べ物は持ってる?」たとえ乗せれなくてもこれくらいの気遣いは出来たはずだ。
何故それが出来なかったんだろう。
今の俺の状況は、ある意味カルマなのかも知れない。
もう全然車も通らないので道路に寝転がっていると、ようやく車が通り止まってくれた。
そして少しだけど乗せてくれるみたいだ。
ありがとうございます!!
子供連れのファミリーは、40キロほど進んだ小さな村で降ろしてくれた。
2台目、エクドルファミリー。
この時すでに20時になろうとしていた。
ずっと直射日光と強風にさらされていたからか思いのほか疲れてる。
一応周りに少しは建物もあるので多少風も防げるし、水も心許ない。
今日はこの村で休もう。
小さなティエンダで水とビールを買うことが出来た。水を節約していたので、カラカラの喉にビールが染み渡る。
はぁ、、最高だ。
建設中なのか廃墟なのか判断が難しいが、この建物の横にテントを張らせてもらった。

ここなら強風直撃することもないだろう。
簡単な夕飯を済ませ横になっていると、誰かが近づいて来た。
「ここで寝ちゃダメだよ!あっちの方に行って!」
ここはダメだったか…
でももうテントも建ててしまったし荷物も出してしまった。
「明日の朝早くに出るので、今日はここで寝させてもらえませんか…?」
「…分かった。今日はここで寝ていいよ」
どうやら建設中の家だったみたいだ。
廃墟とか言ってごめんなさい。
それから少ししてまた彼が、
「ここは風が強いだろう。ここは今作ってる俺の家なんだ、中に入って寝たらいい。そしたら風も防げるからさ」
はぁ、、優しいなぁ。
建設中の自分の家で勝手に寝ようとしてるこんな怪しすぎるただのホームレスにそんなこと言ってくれるなんて。
でもここで充分だよ、ありがとう。
色んな思いが頭を巡りながら、寝袋に潜り込んだ。

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