5月17日 水曜日
2215日目 Colombia Medellín to Cuba Havana
やっぱり眠れないまま時間になり、手続きが始まったと同時に列に並ぶ。
まだほとんど人も並んでなかったのに中々進まない列に並ぶこと30分以上が経ち、やっと俺の番。
「はいジャパニーズね、VISA出して」
「え?ビザ?ジャパニーズはVISA必要ないと思いますよ?」
「いや、皆んなVISA必要だよ。このフォームに記入して提出して。あとビザ代に3000円かかるから」
マジかよ。。
そんなの聞いてないよ。。。
だからさっきから全然列進まなかったんだ。皆んなこれやってたんだな。
まぁでもネット上で簡単に記入して30分ぐらいで申請出来た。あとコロンビアのお金もそんなになかったのでクレジットカードで支払いしてなんとか手続き完了。
そしてゲートを通り、出国手続きに進むと水やらライターやら没収される。
何でこれ水とかライターとか大丈夫な時と駄目な時あんの?航空会社によって違うのか?
今だにこのシステムよく分かんないわ。
もう煙草も吸えねぇよ。喫煙所もないけど。
出発ゲートの椅子の前に座ってスマホいじってると誰かが近づいてきて肩をポンポンと叩いてきた。
顔を上げると見た顔がそこにあった。
「ヘイ!リメンバーミー?」
え?ウソ?アントニオ!?メデジンの宿でボランティアしてたスペイン人のアントニオがそこに居た。
「何でここにいんの!?」
「急にキューバに行こうと思いたってさ。昨日の夜あそこのホステルを出て、チケットとってそのまま来たんだ。ギリシャ人の○○って居ただろ?あいつからユーも今日キューバに向かったって聞いてさ」
ウケる。
アントニオも4つライター全部没収されたとか言ってるし。
そして免税店で買ったウイスキーを朝から開けてるアントニオ。そして俺にも渡して来て朝っぱらの空港でウイスキーのボトルを回し呑みしてる汚いバックパッカー2人。
ほろ酔いになったところで搭乗が始まり飛行機に乗り込む。

窓側の席から外を見ると夜が明けてきて明るくなり始めていた。
飛行機が飛び立って少ししたら眠っていて、まもなく到着しますのアナウンスで目が覚めた。


何にもない。
ぼーっとする頭で飛行機を降り、手続きを済ませキューバ入国。

さぁどうしよう。
とりあえず現金が必要だなと、エクスチェンジに行くとアントニオも居て、とりあえず最低限の10ドルだけ両替した。
キューバペソはアルゼンチンみたいに価値がなく、まともなレートで両替するとめちゃくちゃ損するとネットで見た。
大きなお金は街に着いてから両替するとして、今は街に行くまでのお金があればいい。
だけどタクシーの値段は高く、アントニオも10ドル分しか両替えしてなかったので2人で割り勘しても足りず、なのでバスで向かおうと空港の前からバスに乗り、途中で乗り換えしたりしながらセントロへと向かった。



アントニオがスペイン語出来るから頼もしすぎる。
もう身動きも取れないほどに満員のバスで、でもなんか皆んなウェルカムな暖かい雰囲気もあって、南国の雰囲気にテンションもあがり、早くもキューバに来れた嬉しさと高揚感を感じていた。
だがそれから事件は起こった。
辺りを見ると皆んなカバンを前に抱えるように持っていて、ちょっとスリとか警戒してるような感じ。
バスに乗る時に支払いをして、財布をズボンのポケットに入れたままだったかバックに閉まったかは覚えてないが、周りのピースフルで暖かい空気感に油断して全く警戒していなかった。
そして辺りの様子を見て少し不安を感じ、ズボンの後ろポケットを確認するが財布はない。じゃあバックに閉まったんだっけかとバックの中を探すがバックの中にもない。
嘘だろ!?
一気に血の気が引いて、もっかい探すけどやっぱりない。
落ち着け。
人混みが凄すぎてろくに落ち着いて見れないので、セントロに到着してから改めてカバンをひっくり返すがやっぱりない。
うわ、やられた……
キューバに着いて10分でスリにあった。
しかもセントロに着いたら両替えするつもりだったのでいつもより多目に入れていた。
多分合計500ドルはあったと思う。
いや、金だけならまだいいよ。
でもクレジットカードとニュージーランドで取った国際運転免許も入っていた。
10年間有効で、英語のライセンスなので英語圏ならばあれで運転出来るし、身分証にも使えるから何気にかなり重宝してたのに…
しかも俺はクレジットカードをあの1枚しか持っていない。
もうお金も降ろせないし、ネットでの支払いも出来ない。
完全に終わった……
1番恐れていたことが起きてしまった。。
もうこれでお金をゲットする手段がなくなってしまい、旅も続けられなくなった。
クソ…油断してた……
カードも止めないとヤバいか!?
でもここはキューバ、予約してあった民泊の家に行くがWi-Fiはないと言う。
何処でWi-Fi使えるのか聞くがSIMカード買うしかないとの事。
とにかく現金が必要だ。



何人かに聞いて180ペソで両替えしてくれたおっちゃんに着いていく。
因みに他の人は1ドル100ペソとか、150ペソとかだった。交渉しないととりあえずふっかけてくる印象。
後からも何人かに聞いたりしたけど、おそらく今は1ドル180ペソくらいがMAXって感じ。
幸い別のバックに現金は幾らか入れてある。
先ずは両替えが必要だと、闇両替屋を探して100ドル両替えし、ついでに両替えのおっちゃんは力車マンだったので、そのままSIMカード買える場所に連れて行ってもらうが、3件ほど周ってどこも売り切れでもうないよとのことだった。
終わった……
宿に帰りどうしようか考えながらも、今出来ることは何もなく、とりあえず荷物のチェックをしてると他にもAirPodsやら充電ケーブルやらライターやらナイフやら、色々盗られていた。
もうプロやん。
もう流石に笑っちゃったよ。
全く気づかなかった。
もう完敗ですよ。
なんかもう吹っ切れて逆にテンション上がってきたわ。これは最近旅にマンネリしていた俺に、神様がそんなことならもう日本帰れって言ってんのかなと思った。
俺のクレジットカードがあまり使えないこともあり、普段から降ろせる時に降ろしておこうと、幸い現金は大目に持ってある。
かき集めると数百ドルくらいはあったからとりあえずはなんとかなる。
もう最後にめちゃくちゃ女抱いて帰ろうかな。
それにしてもアントニオがずっと付き合ってくれてたから心強かった。
両替えの交渉もSIMカード探しも全部やってくれたし、1人だったら相当落ち込んでしまったかも知れなかったけど、そんな姿見せても仕方ないと思うと結構元気でいられた。
朝から何も食わずに夕方を迎えたので喉カラカラ、お腹ペコペコの俺たち。
「とりあえずビール飲みに行こうぜ!」と宿の近くのレストランへと一緒に出かけた。



今日心配かけてしまったお詫びと、色々してくれたお礼を兼ねてご馳走するつもりでいた。
ビールを飲み、モヒートを飲み、訳の分からないクソ強いショットのお酒を飲み、美味しいおつまみを食べて楽しい時間を過ごし、大分酔っ払った俺たち。
「女探しに行くぞー!!」
テンションの上がってきた俺たちは、もう女探すぞと意気込んでいたが、お会計8000ペソ。
え?そんなすんの?
全く計算がわからなくて幾らなのか検討もつかないが、両替えしたばかりのお金が一瞬で半分飛んでいった。
それから、
「お前飲み過ぎなんだよ!!!もう何にも出来ねぇじゃんかよ!!!これからどうすんだよ!!!」
と、俺たちはケンカに発展し、昨日からの寝不足もあり、眠さとアルコールでフラフラになりながら結局宿まで帰り、そして同じ部屋のベッドに戻ると泥のように眠りに落ちた。
コメント