6年振りに日本に帰って来た

5月31日 水曜日

2230日目 Tokyo Japan to Hokota lbaraki

夜中にふと外を見たら月が今まで見たことないような強い紫色の光りを放っていて、まるで夢でも見ているみたいだった。

あれは一体何だったんだろう。

日本行きの飛行機だから日本人だらけなのかと思いきや日本人らしき姿はちらほらで、ほとんどが外国人だ。

しかし何で日本のおじさんってこんなにくたびれてんだろう。。

負のオーラ半端ないし。

このおじさんなんてマスクガッチリつけて、顔にまでアイマスクつけて顔全体を覆い、マスクマンみたいになってるし。そんなことしてると窒息して死にますよ?

何をそんなに恐れてるんだろう。

映画見たり寝たり機内食食べたりを繰り返し、中々快適な空の旅を9時間ほど楽しんだらいよいよ東京が近づいてきた。

日本上空を飛ぶ飛行機の窓からは雲海が広がっている。

今頃は名古屋上空辺りか?

あー、もうすぐ日本到着だ。

だんだん東京が近づいてきてるのに窓から見える景色は関東平野の素朴な田舎の風景。

東京ってこんな感じだっけ?

やがて着陸し、日本に帰って来た。

帰って来た?

なんでかこの表現がしっくり来ない。

噂の日本という国にやって来たって感じ。

マリオとか、なんかのアニメキャラクターみたいな絵やポスターが目立つのは日本独特だな。

すごく無機質で殺風景な空港、空港職員さんたちはマスクの中からまごまご喋るもんだから何言ってんのか分かんないし。

煙草の煙だらけの狭い喫煙所は、少し居ただけで気分悪くなるような最悪の空気。そして何故か皆んな壁の方を見ながら吸ってる。

さぁこっからどうしようかな。

地元である茨城県に帰るにはざっくり150キロ、2時間くらいの距離。

王道のルートは一回東京まで出て、上野から常磐線で1本ってのが簡単だけど、でも値上がりしたのかそれだと8000円近くかかるらしい。確か以前は5000円くらいだった気がするけどな。

俺は日本を出る時に持っていた現金の余りで、今5000円札を1枚だけ持っている。

何とかこの虎の子の5000円で帰れないかなと良い方法を模索する。

とりあえず空港の前で1時間くらいヒッチハイクしてみるけど、1ミリも止まってくれる気配がなく諦めて電車乗り場へ。

まぁここは場所も悪すぎる。。

なんとか安く帰る方法ないかなと、地図を見つめながら考え、一度千葉の海岸沿いに出ることにした。

千葉の海外沿いからの方が茨城方面に行くのには東京に出るよりも近道だし、電車も安いだろう。

それに海外沿いからなら国道を北上して行けば茨城だしヒッチハイクもしやすいだろうと、懐かしのローカル電車を乗り継ぎながら千葉の海外沿いを目指す。

成田空港の電車乗り場は沢山の外国人でごった返しており、電車の乗り方の分からない彼らの対応に職員は忙しそうに対応していた。

日本人結構英語喋ってんじゃん。

ちゃんと英語で外国人の対応してた。

それにしても電車の乗り方世界一分かりずれぇな。日本人の俺でさえサッパリ分からないのに外国人からしたら激ムズだろう。

更に切符のマシーンとかも不都合が多く、反応しなかったりでもうどうしたらいいのか分からなくなってる外国人たちの対応に追われてテンパってイライラしてる様子の職員たち。

日本全然テクノロジーの国じゃないじゃん。

機械も電車も全部古くさいし、建物も古いし、こんな国だったか?

俺も質問したかったがとても俺の相手なんてしてる暇なんてないって雰囲気。

何とか自力で電車を見つけ、乗り換えしながら先ずは鹿島を目指す。

電車から見える風景は、もう超田舎。

緑は多いけど、綺麗な自然って感じじゃなく、伸びきった雑草や手入れのされていない森、古い家や建物、全体的に色褪せていて、人々はマスクをつけずっとスマホを覗き込んでいて何か暗い雰囲気。

あとはずっと田んぼが続く変わり映えしない田舎の風景。

電車の中の安っぽいポスターとかも昔と全然変わらないな。

何か日本だけ時が止まっているかの様。

電車を乗り継いで先ずやって来たのは佐原駅。ここで乗り換えて鹿島サッカースタジアム駅で降りたら海も国道も近いかなと考えていたけど、どうやらサッカーの試合がある日じゃないとサッカースタジアム駅では停車しないらしい。

と言うことで鹿島神宮駅で乗り換えて、もうちょっと先の荒野代という駅までとりあえず行くことにした。

ここまでの電車賃で1300円くらい。

電車は1時間後ということなので少し駅前を散歩してみる。

まぁめっちゃ田舎。

素朴な中高生たちが学校帰りに友達と話してたり、田舎のおじさんおばさんがマスクつけてちらほら居るくらい。

しかしマスク率が高いなぁ。

ほとんど皆んなマスクつけてるよ。

もう強制とかじゃないんだよな?何で皆まだマスクつけてんの?

セブンイレブンに入ってみると昔と全然変わらない店内、そして物価の安さに驚いた。

飲み物は100円から150円くらいだし、カップラーメンも安いし、弁当類も400~500円くらいで買える。

日本はもはや世界でも安い分類の国に入るんじゃないかな。

でも弁当の成分表とかみるとカラメルとか着色料とか酸化防止剤とか、よく分からないけど明らかに身体に悪そうな化学製品がふんだんに使われてるんだろうなと想像出来る。

そんなものを買おうとしてるおじさん、おばさん、学生たち、本当にそんなもの食べて大丈夫なのかと心配になる。

昔は日本ってコンビニ多くて品揃えも多くて、便利な国だなぁと思っていたけど、よく売ってるものをみるとただ腹を満たすための毒しか売っていない。

こんなものが全国、どんな田舎に至るまで何処にでもあるってことの恐ろしさ。

店員さんは中学生くらいの子供に対してもこれでもかってくらいに腰低くて、

「こちらの商品、袋にお入れてもよろしかったでしょうかぁ?はい!かーしこまりましたぁ!いつもありがとうございますぅぅぅ」

もう思わず笑っちゃったわ。

この国色々特殊すぎるだろ。

やがてやってきた電車に乗って一駅分だけ移動し、荒野台で降りる。

ここら辺はもう茨城なのかな?

超絶田舎の無人駅。

駅を出ると住宅街があるだけのマジで何にもない田舎。

車通りも全くなく、辺りの住宅からは夕飯の匂いが漂ってくる。

これは…

明らかに場所選びミスったな…

とにかく少し歩けば国道に出れるはずだと歩き出す。足どりは軽い。

しばらく空港泊や機内泊が続き、座ってばかりだったので身体がバキバキだし、けつが痛い。だから歩いて身体を動かせるのが気持ち良い。

2キロほど歩くと一応道路に出て車も通るようなところへと出た。

その道を歩きながらヒッチするけど、皆んな怪訝そうな目で見てくるだけで止まってはくれない。

そりゃそうだよなぁ。

こんな道走ってる車はおそらく仕事帰りの家に帰る人とか、ちょっとスーパーに買い物に行く人たちだろう。

それにこんな田舎でヒッチハイカーなんて見たこと自体初めてかも知れない。

いつもの日常の何でもない帰り道に突如現れたこんな怪しさMAXの汚い男に近づこうなんて人は居ない。自分が茨城に住んでいた時のことを思い出した。そういえばヒッチハイカーなんてまぁ見なかったし、たまに見かけたら何だこいつは?って思ってたもんな。

まぁ国道まで出れば何とかなるだろうと歩いていると1台の車が側に止まった。

「何処に向かってるんですか?」

「北の方に行きたくて、とにかく北の方面なら何処でも良いです」

「じゃあ家に帰るところなんだけど、少し乗って行きますか?ここじゃ車も捕まらないでしょう。国道の方が車も多いから」

やった!

そう言って車に乗せてくれた大原さんは、わざわざ俺を見かけて引き返して来てくれたらしかった。

俺の旅のことを話し、自由で良いなーって言ってもらったり、最近の日本の事情なんかも聞けて楽しい時間だった。

「やっぱり国道沿いの適当なラーメン屋辺りで降ろしてもらえますか?」

20分くらい走り、ご飯もまだだった俺はやっぱりラーメンが食べたいなと国道沿いのラーメン屋で降ろしてもらった。

「小遣い制だからこれくらいしかあげられないけど、これでラーメン食べて」

そう言って1000円差し出してきた。

いやそんなの受け取れないです!と一旦断るが、やっぱり有り難く頂くことに。この恩はまた誰かへと繋いでいこう。

大原さん、ありがとうございました!

にんたまラーメン。

チェーン店だけど結構美味くて、昔からたまに来てるラーメン屋。

これは茨城だけのチェーン店なのかな?

しかも24時間営業でトイレもあり、国道沿いで車通りも多く、夜でも多くのお客さんがやってくる。

こんな完璧な場所で降ろしてもらってもう怖いもんなし。

とにかく店内に入ってラーメンを食べようとメニューを見るけど、どれも超絶美味そうで中々決められない。

せっかくなので頂いた1000円を有効に使いたい。ビールも飲みたいけど、500円の生ビールを頼むと予算オーバーしてしまう。

あまりにも悩んでる俺を見かねて店員さんが声かけてきた。

「あの…ビールも飲みたいんですけどちょっと予算オーバーで…近くにコンビニありますか?あとで戻ってきてここで食べるので荷物置いて行って良いですか?ちょっと一杯だけ飲んできます!」

快くOKしてくれて荷物を置いて近くのセブンイレブンへと行きビールを買ってグビっと流し込む。

はぁ、、やっぱり最初にこれ入れないとな。

胃を刺激することによってラーメンの美味さも倍増するってカラクリ。

胃の準備運動も終わり、準備万端で店内に戻り1番人気のにんたま醤油ラーメンを注文し席に着く。

TVからは懐かしい日本のTV番組が流れていて、本棚にはジャンプやヤンマガなどの漫画本が置かれている。

そしてやってきたにんたま醤油ラーメン、先ずはスープから啜る。

はい優勝。

もう痺れた。

背脂たっぷり、ニンニクがガツンと効いた濃厚な味。これだよ、これ。

1人でガッツポーズをかます。

こうゆうラーメンがずっと食べたかった。

麺もモチモチのちぢれ麺で最高!

スープを吸ったノリがたまらない!

半熟煮卵やトロトロのチャーシューが口の中でトロける!もやしのシャキシャキ感がまたたまらない!

無料のニンニクと赤味噌も足して味変。

はい確定。

スープの最後の一滴まで飲み干して、もう放心状態。美味すぎて昇天した。。。

これは麻薬だ…

どんな麻薬よりも危険なドラッグだ…

こんな何処にでもあるチェーン店でこのレベルこの値段。

どうなってんだこの国は。。

だたひとつ気になったのは、あまりにも長いこと箸を使ってこなかったから箸の使い方を忘れてしまったのか、上手く箸を使えなくて子供みたいな握り方になってしまってた。

食後もゆっくりしながらジャンプでワンピースを読み、最新の展開に興奮したり、ぼんやり眺めてたTVがくだらなくて笑ってしまったり、古くさいゲーム機が併設されているところとか、いちいち細かいことに日本を感じて楽しかった。

時間はもう20時を回っていた。

今日はもう休もうと、外に出て寝床を探す。

このラーメン屋は24時間営業、そして広い駐車場もあるので、長距離トラックの休憩所にもなってるみたいだ。

俺も端の方のスペースにテントを張って潜り込んだ。

それにしてもやっぱり改めてこうやって日本を見ると色んな発見があって面白いな。

何て興味深い国なんだろう。

ブン!!ブブブ、ブンブンブン!!!

国道沿いでは暴走族が爆音を鳴らしながら走り回っていて、やっと俺は、「茨城に帰って来たんだな」と感じた。

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